ダリエン国立公園(1)

 パナマの公園の中では一番面積が大きく、パナマの東端で南米のコロンビアに接しています。熱帯雨林の面積も中米では一番です。早くから世界遺産に指定され、アメリカ大陸では最も野生生物が密集した、未だに踏み入れられていない秘境です。というのも、アラスカからチリにつながっているパンアメリカンハイウェイがダリエンで途切れていて、道が何もなく、人間が簡単には入ることが出来ない奥深い原生林のジャングルだからです。このすべての道が途切れている地域はダリエンギャップと呼ばれ、150kmにわたっています。次々と新たな生物種も発見されています。パナマでもここでしか見られないコンゴウインコやオウギワシ、ジャガーオセロットオオアリクイ、バク、アメリカワニなどが見られます。なかでも有名なのは、世界でトップのバードウォッチングのスポットだということです。冒険家にとっても、世界でも最後の秘境といわれているので、とても魅力的な所です。

 また、先住民族、クナ族、特にウンナン族、エンベラ族が多く住んでいます。裸族と言われ、男性はふんどし一つ、女性は腰巻だけで、体はタトゥという魔よけの刺青をしています。家は丸木を組んで2メートルほど高くして、床は板を通し、屋根はヤシで覆っています。部屋の一角に調理場を設け、火を焚きます。伝統的な原始的生活を守っていますが、現代文明の流れが次第にこれらの部落に入り込み、下着を身につけている姿も見られるようになりました。

 問題は、ダリエンで、熱帯雨林パナマで一番破壊されていることです。原生林の大木が林立しているので、盗木者にとっては最高の場所です。いったん、木が切られると、そこに農民が入り、土を耕し、農産物を生産します。しかし、すぐ、土壌がやせ、見捨てられ、そこに牧場主が入って牛を飼いますが、それも長続きしません。そうなると、道路からは見渡す限り、熱帯雨林は見ることができません。ダリエン州の北側、つまり、国立公園に接した北側はこのような状況になってしまいました。国立公園内でも、盗木が相次ぎ、いつまで秘境が守られるか。

 ダリエンでバードウォッチングを試みましたが、何しろ行くだけで大変なところなので、時間が限られてしまいました。そして、公園内はジャングルが深く生い茂り、観察しにくく、ほとんど鳥を捉えることができませんでした。ただ、ボートで、ツイラ川の河口から、上流に向かって上っていきましたので、その両側に種々のカワセミやサギが見られました。

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オウギワシは世界一強い鳥の一つで、羽を広げると2m40cmにもなります。最近、数の減少が激しく、絶滅が心配されています。一羽が生息できるには40キロ平方のジャングルが必要です。そのため、ジャングルの奥深く行かないと見ることができません。ダリエンのジャングルが一番生息するのに適しています。特徴は二つの大きなカンムリと、ニ本の太い足首です。今回は、大木の幹が二股に分かれている広い空間に巣を作っていて、そこに出たり入ったりする、つがいを見ることができました。

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鶏よりやや大きめの鳥で、普段は陸上を歩いて木の実の餌を探しています。奥深いダリエンのようなジャングルでしか見ることができず、非常に注意深く、偶然にも出くわすと、すばやく茂みの中に逃げ去ってしまいます。

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ダリエンの奥地に入る入り口、ツイラ川の河口岸の木の枝にカワセミが並んで止まっていました。その中で、ひときわ腹が赤く、羽が緑と青でキラキラ輝いて目立ったのがアカハラミドリヤマセミでした。私たちを出迎えてくれているようでした。公園内での観察は行くだけに時間を取られ、ジャングルがうっそうとし過ぎていて見極めるのが困難でした。以下は見られた鳥と動物です。

ユキコサギ             クビワヤマセミ

ダイサギ              オオホウロンチョウ

ヒメアカクロサギ          オウギワシ

オオアオサギ            マダラヤドクガエル(青黒)

ナンベイアオサギ          コアシナシイモリ

アマサギ              アカハラミドリヤマセミ

オオミドリヤマセミ