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先住民族居住区(マドゥンガンジ)(1)
パナマ市からアメリカンハイウェイを東に向かって走ると、コロンビアとの国境近くにあるダリエン国立公園に行き着きます。パナマ市からダリエン国立公園入口まで約300kmあります。その中間に先住民族、クナ族が住んでいるマドゥンガンジ区域があります。車道からはずれ、北のジャングルの山地に向かっていく、道もない広大な地域なので、観光客はおろか、パナマ人も寄り付かない辺境の地域です。所々にクナ族の部落があります。藁ぶきの小屋に土の土間、隅にある囲炉裏の調理所、ハンモックがぶら下がり、そこに大所帯の家族が住んでいます。極貧の生活ですが、彼らから見れば、全くそうでないのかもしれません。ボートで川をさかのぼっていくと、多くの川が流れ込んでいる窪地にできた湖、バヤノ湖があります。さすがに、文明人と言われる人が足を踏み入れていないだけあって、写真でも見たことがないような珍しい水鳥に出くわします。さらに、湖から奥地へボートでさかのぼると、丘の上に要塞のようにそそり立つクナ族の大きな部落があります。まさに、人を寄せ付けない城のようです。かつて、何百年前、スペイン人が先住民族を襲って、皆殺しにした光景を思い浮かべさせられます。部落を越えて、ジャングルの奥へ進むとコンゴウインコが見られるということでしたが、行くことができず、見ることができませんでした。
バヤノ湖は水鳥の宝庫で、絶滅に近い鳥も見受けられます。アメリカトキコウやベニヘラサギ、サンショクサギ、シロゴイサギなど色とりどりの鮮やかな鳥、ほとんどのサギ類が見られました。川の途中には真っ黒なアシボソハイタカが木の上に止まって、こちらをうかがっており、突然、ヘビのような首の長い、大きなアメリカヘビウが木の枝からこちらに向かってきた時には、食べられるかとびっくりさせられました。
バヤノ湖
絵では表されない、透き通ったような白と青の色で、天女のようでした。川を下っていくと川辺に一羽が、しばらく行くと、また一羽という形で、じっとたたずんでいて、私たちを見送っていました。この地域でしか見られなかったので、辺境の地の貴重さを感じました。
バヤノ湖
クナ族にとっては、グリーンイグアナは貴重なタンパク源です。大きな木の枝に寝そべって動かないので、私たちは大抵、見過ごしてしまいます。クナ族は、それを鉄砲で仕留めて、肉や卵を食べます。昔の恐竜のような形で非常にグロテスクです。大きさや色も様々で、1メートル近いものもあります。
バヤノ湖
ベニヘラサギはほとんど見られませんが、運よく、時と場所が当たると見ることができます。バヤノ湖の遠くでえさをついばんでいるのが見られました。どんなに遠くても、全体が鮮やかなピンク色なので、すぐ見分けることができます。この地域で見られた鳥や動物は以下の如くです。
アメリカレンカク ハシブトアジサシ
シロゴイサギ ムシクイトビ
トラフサギ フナシスズメバト
ダイサギ シロビタイシャコバト
ナンベイヒメウ クロシャクケイ
ナンベイレンカク グリーンイグアナ
セグロミズナギドリ リスザル
ミカズキチドリ クモザル