サンロレンソ国立公園(3)

下記の紀行文はパナマ滞在時に娘とイスラグランデへ車で行った時のものです。

 

イスラ・グランデ紀行記

 

 

 ポルトベーロから東へ15Kmにイスラグランデがある。15Kmだから車であっという間だろうと思うと、さにあらず、道路のあちこちに穴があり、それを避けて通るだけで普通の倍の時間がかかってしまう。しかし、船着場に着くや、景色の良さと澄んだ水のきれいさで今までの苦労が忘れてしまう。船着場から常に船頭がお客を待っており、お客が集まり次第出発、目の前に大きく見える対岸の島に5分で着く。岸に沿ってフランス風の赤、オレンジ、黄色の色の家々が並び、その中にいくつかのホテルもある。ここの特色は岸に沿ってビーチがあり、水が澄んでいるのと、遠浅で岸から100メートルまで行っても立つことができることである。ただ島の東端だけは岩が多くあり、水泳には向いていないが、中央から西は砂浜で少し岩があるところはカラフルな魚が泳いでいる。

 まず、西側の砂浜が突き出ているところまでどんなものかと娘と一緒に行ってみる。そこの入り口では簡易的なレストランがあり、そこのオーナーがジュースや食べ物はいらないかと勧めに来る。注文しないと入れないかのごとくそこを陣取っている。砂浜では観光客がビーチバレーをしたり、泳いだり、日光浴をしたりいろいろだが、人はそんなに多くない。ここは砂浜だけで岩は何もない。ここもずっと遠浅で泳ぎに最適な深さなので少し泳ぐが、泳ぎだけでは飽き足らない。娘も日光浴をしているが、時間をもてあましているようだ。これで終わるのはつまらない。そんな時、ふと観光案内ではここはスノーケリングも絶好の場所だといっているのを思い出す。それで周りを懸命に見渡すが、周りにそれらしい場所はない。明日はその場所を探しに行こうと、娘と共に帰途につく。

f:id:shuasai1207:20190326150227j:plainホテルから見るイスラグランデ島

 

 途中、海に突き出たわらぶき屋根のレストランがあった。すべて木材で造り上げた水上レストランでなかなかしゃれている。高そうだと思いながら、思い切って入る。海の真ん中にある、床板の下はすべて海で、趣があるし、海風が涼しい。メニューを見たら、ロブスターがあり、$9となっている。こんなのアメリカで食べたら$25以上はすると娘は言った。これはしめたものだ、じゃ、頼もうとなって注文すると、本当にロブスターを持ってきた。でかいロブスター、これはイセエビだが、2匹まるまる皿にのっている。とても美味しかった。今までこんなものはほとんど食べたことがないので娘と共に大いに満足する。お金を払うときにこれは$15だといわれたが、それでも安いのであろう。 

 

 ホテルに帰って、明日のため、観光ブックでスノーケリングの場所を探す。ひとつ、それをオペレートしているツアー会社を見つけた。さっそく電話するが、やっていないと言われ、それではホテルだったら知っているだろうと思い、ホテルのオーナーに聞いた。調べてあげるといっていたが、いくら経っても反応がない。ここではツアーを斡旋してくれないと思い、娘と2人で明日の朝、他のホテルかレストランで聞いてみることにした。翌朝、外のレストランで食事をし、その近くの船のキャピタンにツアーをやるか聞いてみた。すぐやれるということで今まで知らなかったマミ島へ連れて行ってくれた。そこはヤシの木と白砂の島で周りもそのような島が点在している。プライベートの場所ということで管理人がいたが、一人$3で使用できた。管理人が言うにはこの周りがさんご礁だという。そう言われて見渡してみると周り一面水の色が茶色になっている。その向こうが青い水で深そうだ。まず、試しに入ってみるととても浅く、海草と岩でごつごつして歩くと痛い。仰向けになって手だけ地に着け、足をあげて進む。ずっと遠浅でしばらく行くと少し深くなる。そこで水中眼鏡をつけてみた。突然びっくりした。糸のような肌色の珊瑚がゆれ、赤く細長く角張った形や、オレンジ色の丸く小さく山になった珊瑚がいくつも重なっている。青いイソギンチャクのような珊瑚も揺れている。それがそこ一面何百メートルと広がってびっしりとある。そこに青や黄色,赤、茶色、白などの熱帯魚が大きいのやら小さいのやら見える。娘が言うにはマンタが見えたとか。とっさのことで私にはわからなかった。さらに行くと水が青くなって底がずっと深くなって見えない。そこに大きな青と黄色の魚が何百と群れをなして青い水のほうへ通りすぎて行った。追って行くには深すぎる。素晴らしいものを見た余韻でそのあたりを何回も周る。いままで見たことがないサンゴ礁であった。サンブラスでも珊瑚は見たが、このように何百メートルも遠浅で何キロにも渡って珊瑚が広がっているのは初めてであった。 娘は最初すぐ帰りたいと言っていたのがこれで満足したようだ。砂浜のヤシの木陰を見ると多くの観光客が陣取っており、さらにモーターボートで続々と押しかけてきていた。バナナリゾートや高級なホテルのお客だという。それらのホテルが手配

しているツアーである。このツアーは他の島も周っているようだ。

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イスラグランデ諸島の中のマミ島

 

 帰る時、キャピタンはマングローブトンネル探検ももう1つの目玉だといった。それでは、そこに連れて行ってくれるように頼む。 今まで陸から見ていたので分からなかったが、海から見る本土の岸やその周辺の島はマングローブで覆われている。あるひとつの島のマングローブを押し分けていくと、船の通路が川のようになって両側からのマングローブがその通路を上から蔽っている。言葉の通りマングローブのトンネルだ。上も左右もすべてマングローブである。これは自然に出来たものだそうだ。これもイスラグランデで新しく発見したものの一つである。今度来るときはバナナリゾートで豪華に泊まってこの海を満喫しようと思った。